2012年9月28日金曜日

怪しい日本語8 通報と密告

 先日、文化庁の国語に関する世論調査の結果のニュースをインターネットで読んだのだけれど、以前の記事に書いた「半端ない」の言葉も出ていて興味深かった。 

 「にやける」が「なよなよしている」だったり、「失笑」が「苦笑い」だったり、「うがった」が「ひねくれた」だったりで、多くの人がその意味で使っていることに驚いた。
(私は未だに本来の用法とされるほうの意味で使っていたので、日本に帰ったら、日本語も通じなくなっていそうで怖い。)

 この世論調査の結果にはなっていなかったけれど、最近インターネットの記事やブログや掲示板などをブラウズしていて気になるのが通報※という言葉。
通報:(急を要する情報を)告げ知らせること。知らせ。報知。(広辞苑第五版、岩波新書、電子辞書版)

 年収5000万円の芸人の母親が生活保護を受給していたことが発覚して騒動になって以来、公的な手当て類の受給に対する世間の目が敏感になってきているようで、「近所の人(知り合い)が不正受給をしているようだが、どこに通報すればいいか?」などの書きこみもよく目にするようになった。

 子どもが虐待にあっているとか、DV(家庭内暴力)があるようだとか、事故や犯罪の現場を目撃したとか、すぐに対応しなければいけないものに対して「通報」を使うのは納得が行くけれど、不正受給のような不確かで緊急性のないものに「通報」を使うのには違和感がある。  

 その人が本当に不正受給にあたるかどうかは、当事者(本人と役所)でなければわからないし、緊急性も低い。
 「母子家庭に若い男が出入りしている」と情報を受けて役所の職員が調べに行ったら、成人して1人暮らしをしている一番上の息子が家族の様子を見に来ているだけだった。
と、いうケースもあるらしい。

 近ごろは、ある人にとって不利益になる(かもしれない)情報を匿名で知らせることを「通報」と思っている人が多いようだけれど、そのほとんどは「密告」と呼ばれる行為で誰かを困らせるだけで助けることにはならない場合が多い。

 「密告」という行為を「通報」という言葉と混同して使っているから、大きなおせっかいで役所の職員に無駄足をふませたり、虐待を見つけても「通報」をためらったりしてしまうのではないかと思う。
 報告を受ける機関の側も、緊急なものとそうでないものがごちゃ混ぜで「通報」として入ってくるから、まず情報の仕分けをしなくちゃいけなくて大変そう。

2 件のコメント:

  1. 確かに 近年間違ったニホンゴを使う若者が多いね~ 自分ももしや・・・・
    で、 日本語って曖昧な表現が多いから便利
    なようでややこしいときもあり・・・
    まぁ~これが日本語の文化なんざんしょ~

    ところで カッコいいね~写真の・・・・

    投稿: 2012年9月29日 (土) 07時07分

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    1. >てるひこさん

      写真のバイクはアメリカのポリスのバイクです。
      クラシックカーのクルージングの時に警備に色んな街から来ていたみたいで、10台くらいズラッと並んでいました。
      写真のバイクはロイヤル・オーク市の警察みたいです。

      投稿: 2012年9月30日 (日) 08時21分

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