2013年7月29日月曜日

IEPもどき3


 (前記事からの続き)

 校長先生との話し合いには短時間だけれども、怪獣の担任も参加しました。

 怪獣の状況とボランティア人材センターのコーディネーターさんとの話しの内容を話して、人材センターのヘルパーを受け入れを許可してくれるようにお願いしました。

 ヘルパーの必要性は納得してもらえたけれども、公務員や保護者以外の人間を学校に受け入れるのは消極的。
 ボランティアなので料金は発生しないこと、人材センターは市から認可されている団体で、市の福祉課と連携して活動していて、ヘルパーに登録されている方も身元がしっかりしていることなども説明しましたが、
校長はとにかく「前例がないので…」と、言葉を濁すばかり。

「前例(先例)がないので…」

 この言葉をそれまで何度耳にしてきたことか!
お役所関係相談に行くと、断るための常套句なっているんじゃないかと思うくらい、口をそろえて同じセリフを繰り返す。
(前例がないから相談に来てるんじゃん!!
だから、「お役所は融通が利かない」って言われるのよ!!
(*`∧´)プンプン)

 多分、そう言われるだろうと思ってはいたので、覚悟は出来ていたし、人材センターのコーディネーターさんは障害児にヘルパーを手配した経験の持ち主。

私:「人材センターのコーディネーターさんは、別の学校で発達障害児にヘルパーさんを手配した経験があるそうですよ。」
と、話したら、校長先生の表情が変わった。

校長:「そういうことなら、ヘルパーを受け入れる方向で(コーディネーターとヘルパーも含めて)関係者全員で再度話し合いを持ちましょう。」
と、いうことになった。

 2度目の話し合いでは、校長、担任、コーディネーター、ヘルパー、私たち夫婦、が参加して具体的なスケージュールなどを調整しました。

 話し合いの結果、ヘルパーさんに来てもらうのは、週に2~3回、1回2~3時間ということに決まった。
 また、学期の終わり毎に、関係者で集まって反省会をすることも決まりました。

 その時の話し合いの参加メンバーは、誰もIEPについての知識はなかったし、特殊教育の専門家もいなかったけれど、図らずもIEPミーティングと同じことをすることになったのは興味深いです。

かくして始まった「IEPもどき」は、私たちが渡米するまで、(途中でヘルパーさんの交代はあったけれど)約2年間続けられました。

 

 後日談:

 IEPもどきの2回目の反省会の時だったか、校長先生が、
怪獣君に(ボランティアの)ヘルパーさんがついているのは、(学級運営がやりやすいと)すごく評判が良くて、他のクラスにも(軽い)ハンディのある子がいるのですが、来学期からはその子たちにもボランティアさんがつけられるように、コーディネーターさんにお願いしました。」
と、ニコニコ笑いながら報告されてました。

 その報告を聞いて、(最初は消極的だけれど、いい結果が出たら積極的に取り入れるタイプの)この校長と、(発達障害の生徒にヘルパーを手配した実績のある)このコーディネーターだったから、怪獣のIEPもどきも実現したのかもしれない、と感じた。

 ボランティアのヘルパーの受け入れは、怪獣のためにお願いに行ったけれど、IEPもどきや他の子にもヘルパーを手配することになって、(怪獣のように)支援学級と普通学級の制度の隙間に落ち込んでしまった子たちの一助に発展していったことは、予想以上の成果でした。

6 件のコメント:

  1. 自分の求める成果は、自分が動かないと得られない。
    動いてみることで、得られる成果がある。
    ということが良く理解できました。

    諦めないことが、大事ですね。

    投稿: あのこら | 2013年7月29日 (月) 17時23分

    返信削除
    返信
    1. >あのこらさん

      訪問&コメントありがとうございます。
       うちの家族は諦めが悪いですから、いつも何かにチャレンジしています。
      頑張っていると、不思議に助けがあったり、偶然に必要な人や情報にめぐり合えることもあったりして、感謝の日々です。

      投稿: yuuki | 2013年8月 1日 (木) 02時39分

      削除
  2. 前例がないと担当者の裁量一つで
    結果が大きく変わる

    残念だけどよくある事ですね

    いい前例を積み重ねることで
    のちのち多くの人に役に立つシステムが
    出来上がっていけばいいですね

    キャンプから無事帰宅されたようですね
    家に帰るまでが遠足ですよ~って
    よく先生に言われたものです

    親になって本当にそう思います

    投稿: Lino | 2013年7月29日 (月) 18時09分

    返信削除
    返信
    1. >Linoさん

      いつもコメントありがとうございます。
       本当に現場の責任者の裁量ですべてが決まる感じですね。
      ある程度柔軟性のある校長でよかったです。
       >キャンプから無事帰宅されたようですね
      ありがとうございます。
      お蔭様で無事に元気で帰宅しました。
      「家に帰るまでが遠足」本当にそうだと思います。

      投稿: yuuki | 2013年8月 1日 (木) 02時39分

      削除
  3. モッチーヌ2024年8月24日 1:15

    今の特別支援教育では、補助の必要な子の普通クラスに
    通級教室の先生が入ることがよくあるようです。
    ウチの子も苦手な授業のときに補助の先生が入ってくれますが
    実はウチの子以外にも必要な子がたくさんいるので
    全体を見ていると言っていました。
    きっと、yuukiさんのおかげで助かった子は
    怪獣くんの他にもたくさんいたと思います。
    まだIEPの「あ」の字もなかった時代に
    yuukiさんの行動は何が必要なのか的を得ていて
    本当にすばらしいです^ー^)人(^ー^

    投稿: モッチーヌ。 | 2013年7月30日 (火) 07時16分

    返信削除
    返信
    1. >モッチーヌさん

      いつもコメントありがとうございます。
       息子が就学した当時は、IEPの導入される前で、先生方すらも個々のニーズに合わせてカリキュラムを組むという発想が全くなかったので、私たちの目指していることを理解してもらうのは不可能でした。
       私たちもIEPについては全く知識がなくて、たまたま息子にとって必要な環境を整えていったら、IEPの手法とよく似た形になった感じです。

      投稿: yuuki | 2013年8月 1日 (木) 02時39分

      削除