最近日本では、STAP細胞の論文の捏造疑惑が話題になっているようで、日本のネットのニュースなどでも、毎日のように「STAP細胞」の文字を見かける。
私がネットの報道をみていて不思議に思ったのは、STAP細胞の存在や再現実験ができるかどうかに注目するよりも、論文の書き方の方に注目が集まっていること。
マスコミも一般人も、科学的知識がないのだから、突っ込みどころは論文の書き方になってしまうのは仕方がないことだと思う。
中には、今回のSTAP細胞の論文とは関係ない、小保方さんの過去の論文の盗用に関して批判しているものもあって、話をややこしくしているように思う。
なんにしても今回の論文の問題で明らかになったのは、日本の論文の書き方の指導のレベル(教育のレベル)の低さだと思う。
博士のディグリーを持っている小保方さんが、引用の仕方を知らなかったり、画像の差し替え(や使いまわし)をいけないことだとは思わなかった、というのはあまりにもお粗末な言い訳。
それに、彼女の論文をチェックする立場にある人も、盗用だらけの論文に気が付かなかったというのも問題。
以前の記事にも書いたのだけれど、日本は学校教育の中で論文の書き方を教えないし、引用についてもルールが曖昧。
日本の感覚だと、「引用する時は論文の最後のレファレンスに書いておけばいいだけだろう」と考えがちだけれど、アメリカの引用のルールはもっと細かい。
例えば、私が大学の付属の語学学校に通っていた時、ライティングのクラスで教わった引用の基礎のルール(毎年細かいルールが変わるので、詳しいことはMLAやAPAのサイトで確認してもらうことにして)では、引用は大まかに分けて3種類。
一つは、他人の文や文章の一部をコンマやピリオドまでそのままコピーする引用の方法で、短いものは""(クオーテーションマーク)で区切って引用し、長いものはボックス状のパラグラフで引用する。
文学作品や台詞など、原文のままの雰囲気を伝えたいときに用いられることが多い方法。
もう一つは、文の意味は変えずに単語だけを変えて引用する方法で、Paraphrase(言い換え)と言われる方法。
""(クオーテーションマーク)やボックス状にする必要はないけれど、文脈から引用だと分かるようにしたり、必ず引用だということを文の後に明示する必要がある。
言い換えの仕方にもルールがあって、原文とほぼ同じ長さであることや、原文に使われている単語の使用率が決められていて、それ以下でなくてはならない。
3つ目は、原文を要約したりする場合に使われる方法で、言い換えと同じように文脈から引用だと分かるようにして、文の後に引用を明示する必要がある。
どの方法で引用するにしても、どの部分が引用だということがハッキリわかるようにするのがルールで、レファレンスに引用元さえ書いておけば良いというものではない。
レファレンスの書き方にも決まりがあって、引用元のページや段落まで(ウェブサイトからの引用ならば、閲覧した日付まで)明示する必要がある。
アメリカでは、論文の書き方は大学の教養学部までに身につけていなければならない初歩的なもの、博士論文を書いたことのある人間が、引用の仕方を知らなかったというのは考えられない。
論文(英文)の書き方を知らない人が博士になれてしまうなど、日本の論文指導のレベル(教育のレベル)の低さは残念だと思う。
日本語は英語とは違う言語なので、仕方がない部分もあるのだろうけれど、国際化が進んで英語がスタンダードの社会で、(研究者や学者が)英語の論文の書き方を知らないのは、致命的だと思う。
ノーベル賞級の発見が本当だったとしても、論文が盗用だらけじゃねぇ…信用されないのも仕方がないよね。
自分は、大学行っていないのでよくわかりませんが、専門学校で、一度だけ論文形式のレポートを出せといわれました。
返信削除…が、その形式を教えてもらえないまま、クラス全員が提出したレポートについて「これは論文ではない!!」とお叱りを受けました。
いや、だから、どんなのがそうなのか知らないって。論文なんか見たこともない…と、みんなで頭をひねったおぼえがあります。
少なくとも、高校卒業時点では誰も教わってないわけですよね。
「動物のお医者さん」という漫画で、主人公が大学卒業論文を書くのに、まだネットがない時代、海外の論文と内容がかさならないように調べることに必死になっていたシーンが印象的で、現在の学生はネットでそれを調べるのに楽になったろうなと思っていました。
…それが、逆にコピペで、平気で内容を重ねるという…。
指導する立場の人の、レベルの低下なんですかねー。
投稿: アールグレイ | 2014年4月10日 (木) 08時44分
>アールグレイさん
削除いつもコメントありがとうございます。
そうですよね。日本の高校までの学校では論文の書き方なんて教えませんよね。
私も日本の大学の教養の時、アールグレイさんと同じ経験をしたことがあります。
論文の書き方のレクチャーを受けた後、全員書き直しさせられました。
昔はインターネットがなかったから、盗用したってよっぽど有名な論文じゃない限り、(確かめようがないので)ばれなかったのだと思いますが、今は多くの論文が電子化されているので、コピペしたらすぐばれちゃう事に気が付いてほしいですよね。
投稿: yuuki | 2014年4月10日 (木) 11時04分
書き方・・・ちゃんと習った覚え無し
返信削除引用元をはっきり記載することは
うるさく言われたけど・・・
今思うことは
「もっとちゃんと勉強しときゃよかった」かな?
投稿: Lino | 2014年4月10日 (木) 09時09分
>Linoさん
削除訪問&コメントありがとう~
学術論文の書き方なんて、学校を卒業したら、研究職や開発などに携わる人以外は書く機会なんてないですからね。
学生の頃ちゃんと学んだとしても忘れちゃいますよね。
投稿: yuuki | 2014年4月10日 (木) 11時04分
私は短大卒なので論文を書いた事はないのですが
返信削除これだけPCが普及していて検索でなんでも出てくる時代なので
気楽にコピペしちゃったのかな?なんて思いました。
それより小保方さんほどのリケジョが、自分の実験写真を
うっかり間違えて貼り付けるなんてあり得ない気がします
STAP細胞があるのかを早く証明してほしいですよね。
投稿: モッチーヌ。 | 2014年4月10日 (木) 10時15分
>モッチーヌさん
削除訪問&コメントありがとう~
インターネットが普及しているからこそ、コピペしたらすぐばれちゃうのにね。
アメリカの大学の教養学部のライティングのクラスで盗用が見つかった時に、担当先生が、君たち(生徒たち)が見つけられる情報は、教師も見つけられる事を覚えておいてほしい。
教師を舐めるんじゃない…と、言っていました。
投稿: yuuki | 2014年4月10日 (木) 11時04分
皆さん論文の書き方に厳しいね。
返信削除でも40年前に卒論を書いた私ですが、「引用」には厳しく指導を受けています。
まあ40年前には“ネットで調べる”なんて存在しなかったのですが、これだけネットが普及されると「その辺も甘くなったのかな?」と思いました。
「アメリカでは、、、」ということですが、アメリカの一流大学出身の知り合いは、日本語も喋れることから私の文章を英訳してそのままネットに流しています。
あまり良い気分はしませんが、『そんな時代になったのかな・・・』と思っていました。
まあ小保方さんの話では、ホントにSTAP細胞があってほしいものです。
投稿: tora | 2014年4月10日 (木) 10時55分
>toraさん
削除コメントありがとうございます。
私がコメントを返している時に入れ違いになったみたいで、お返事遅くなって済みません。
toraさんの時代は引用の仕方をきちっと指導されていたんですね。
toraさんのブログが英訳されているんですか?読んでみたいなぁ…
投稿: yuuki | 2014年4月12日 (土) 12時31分
こんにちは!
返信削除あたしは科学者じゃないけど
物事の立証を「自己流」でしたと言ってしまう感覚自体問題なんじゃないかと。
「あたしは200回幽霊を見ました。幽霊はいます。」
と言われても まずは「あたし」が幽霊を見れる事をどう立証するかだよね。
なんて思っちゃいます。
投稿: sachi3317 | 2014年4月10日 (木) 21時30分
>sachi3317さん
削除訪問&コメントありがとうございます。
幽霊の例え、わかりやすいです。
幽霊を説明するのが大変なように、新発見を一般の人にもわかるように説明できるようになるには時間がかかりそうですね。
投稿: yuuki | 2014年4月12日 (土) 12時31分