2011年8月14日日曜日

パーフェクト・ワールド2


 アメリカのIEP(特殊教育のプログラム)は日本のIEPと比べると体系化されているし、法律で細かいサービスの内容が指定されていて、義務教育の間はアメリカのどの州でも、法律で決められた最低限のサービスは受けられるようになっています。

 アメリカのIEPは1970年代に始まって、30年以上の歴史があるので、2007年に始まった日本のIEPと比べると制度は整備されていると言えると思います。

 制度が整備されていれば、受けられるサービスの質は日本よりも優れているのかと言うと一概には言えない部分があります。

 なぜならサービスの質は、IEPに携わる専門家や教師の人となりに左右される部分が大きいからです

 日本の普通級の担任でも
「今年の担任は新任だけれど当たり」
とか
「今年の担任はベテランなのにハズレだから、1年間の辛抱だ」
とか
保護者の間で噂されるように、
アメリカの特殊教育の担当者にも「当たり・ハズレ」があります。
(教職や特殊教育に携わる人が全て完璧な人格者のわけがないので、当然と言えば当然なのですが…)

 たとえIEPの担当者が全て「当たり」だったとしても、教科担任やヘルパーやクラスメイトが必ずしも「当たり」になるとは限らないので、IEPの環境をコントロールされた「理想」に近づけるのはほとんど不可能だと思います。

 「当たり」かどうかは、担当者やかかわりを持つ人たちの資質にもよるけれど、IEPを受ける子どもとの性格や相性などの相対的な要素で決まってくるので、全ての子どもに最適なサービスを提供するのはかなり難しいです。

 もしかしたら制度の整っているアメリカの「ハズレ」の担当者や「ハズレ」の環境で学ぶよりも、制度は手探り状態だけれど「当たり」の担当者や「当たり」の環境の日本のほうが、子どもにとってはプラスになることもあるかもしれません。

 以前の記事に書いたように、パーフェクト・ワールドが存在しないように、パーフェクトな特殊教育の制度や環境は存在しないです

 個人個人に合わせたIEPをデザインしていく点では、日本でもアメリカでも「手探り状態」にはかわりはないです。
 「手探り状態」でフレキシブル(柔軟な)状態だからこそ、決まりに縛られたりしない個性に焦点を当てた計画が立てられる。
 自分の置かれた環境や手持ちのコマでいかに最大の結果を引き出せるかどうか、それを担当者と協力して探していくのがIEPの醍醐味だと思います。

2 件のコメント:

  1. 完璧な教育環境なんてありませんよね。その生徒にとってどんな環境が一番いいのかなんて、そんな簡単にいえることではないから当たり前です。
    でも、親は完璧を求めてしまう。私も親になり、すこしだけそんな気持ちがわかるようになりました。教育環境は完璧にできないのであれば、せめて、親としては完璧に子供と向かい合おうと、私自身は心に決めました。とはいえ、私も欠点だらけの人間なので…。

    投稿: 2011年8月15日 (月) 22時02分

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    1. >メンカさん

      親は子どものことなら、つい欲張りになっちゃいますよね。

      生まれる前は、
      「五体満足なら…」
      と思っていたのが、
      「見た目が可愛らしくみえるように」
      と、服などにお金をかけ、
      「賢い子、利口な子に育って欲しい」
      と、習い事や勉強に力をいれ、
      「優しくて、礼儀正しく」
      「良い成績で良い学校に進学して、良い仕事に…」
      など、気がついたら「もっと、もっと」とキリがない。
       
      子育てってホントに難しいと思います。

      投稿: 2011年8月16日 (火) 11時06分

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