Anonymousは2011年のイギリスの映画。
ジャンルは政治的スリラー(政治サスペンス)と歴史フィクションドラマ(フィクション時代劇?)。
邦題は「もうひとりのシェイクスピア」で、日本では2012年12月22日から劇場公開されています。
エリザベス1世時代の、第17代オックスフォード伯・エドワード・ド・ヴィアーの生涯をフィクションを交えて描いた作品で、有名なシェークスピアの作品は、実はエドワードが本当の作者だったという設定。
ストーリーは、エリザベス1世の後継者をめぐる政治的陰謀やかけ引きを絡めながら展開していく。
(←上:エドワード・ド・ヴィアー
中:ベン・ジョンソン
下:ベンの名前を使ってエドワードの書いた劇を発表するように命令するシーン)
エドワード(リス・アイファンズ)は宮廷の実力者ウィリアム・セシル(デイヴィッド・シューリス)の娘婿。
詩や劇のシナリオを書くのを生きがいとしているが、舅のウィリアム・セシルは文学や芸術を嫌い、娘婿のエドワードの文学や芸術活動を一切禁止している。
自分の名前では作品を発表できないエドワードは、劇作家で政治的な風刺劇を上演したため投獄されていたベン・ジョンソン(セバスチャン・アルメストロ)を釈放する代わりに、自分の作品をベンの名前を使って世に出すように命令する。
(←シェークスピア)
ベンは命令にしたがってエドワードの作品を上演、成功を収めるものの、
自分の名前を使うのをためらって作者名を伏せておいたら、俳優の一人シェークスピア(レイフ・スポール)が「自分が作者だ」と名乗り出て、エドワードの作品はシェークスピアの作品と言うことになってしまう。
エドワードはその後もシェークスピアの名を借りて、自分の作品を発表し続けるが…
(←左:エドワードの舅ウィリアム・セシル
右:エドワードの義理の弟ロバート・セシル)
DVDについていた映像特典によると、
シェークスピアにはゴーストライターがいたという疑惑は、1700年代から持ち上がっているそうです。
理由は
①シェークスピア自身が書いたオリジナルの原稿や証拠がないこと。
(シェークスピアの劇は、彼の死から7年後になるまで出版されない。)
②シェークスピアに宛てられた手紙や彼が書いた手紙が1つも見つかっていないこと。
③シェークスピアと呼ばれた男の署名(サイン)はいくつかあるが、自分の名前なのにスペリングがバラバラ。
(シェークスピアは字がかけなかったのでは?という疑いがもたれている)
④シェークスピアの父は文盲で、シェークスピアの娘たちも文盲で、公的文書の署名は名前の代わりにX(エックス)で代用していること。
(彼の家族は文盲なのに、彼だけが文学に秀でていたとは考えにくい)
等から、論争になっていたそうです。
(←晩年のエリザベス1世の役のヴァネッサ・レッドグレーヴ)
トーマス・ルーニーは1910年の著書の中で、シェークスピアの作品とされる劇を書いた人物は、次の条件を兼ね備えた人物であろうと推理して、
①エリザベス1世の宮廷にいた貴族である
(劇の登場人物の多くが貴族で貴族の社会の事に精通している)
②ギリシャ語とラテン語とフランス語を喋れる
③イタリアに長期滞在したことがある
(「ロミオとジュリエット」や「ベニスの商人」などイタリアを舞台にした作品が多いこと)
④弁護士などの職業で当時の法律をよく知っている
などの点から、
第17代オックスフォード伯・エドワード・ド・ヴィアーが本当の作家ではないかと主張する。
(←若き日のエドワード役のジェイミー・キャンベル・バウアー)
けれども、第17代オックスフォード伯・エドワード・ド・ヴィアーが劇を書いたという確実な証拠や記録もないため、
シェークスピア自身が作家であるとするグループ(ストラットフォーディアン)と、エドワードが本当の作家であると主張するグループ(オックスフォーディアン)の間で、今も論争が続いているということです。
余談:
(←ノッティング・ヒルでスパイク役を演じるリス・アイファンズ)
この映画で第17代オックスフォード伯・エドワード・ド・ヴィアーを演じているリス・アイファンズは、1999年の映画「ノッティング・ヒル」で主役のヒュー・グラントのルームメイト役スパイクの役を演じています。
「ノッテイング・ヒル」の役柄とのあまりのギャップに、同一人物だと暫くは気が付きませんでした。
ドラマチックな裏切り=シェイクスピアと捉えてまして
返信削除別人説其の物もシェイクスピア的な。。。(*`ε´*)ノ
高等の教養があって、字が書けない?、当人と時代性や
辻褄が合わないなど謎が在りますわね~。Σ(・ω・ノ)ノ!
ベーコン説やマーロウ説よりエドワード説のほうが
映画になるのですな。
まあ、みて見たいですね。
投稿: あっくん | 2013年1月21日 (月) 12時23分
>あっくんさん
削除コメントありがとうございます。
特典映像はトーマス・ルーニーの説に基づいた、ドキュメンタリー風でしたが、
映画自体はフィクション・ドラマでした。
作り話とわかっていても、作品の世界につい引き込まれてしまう感じで、見せ方が上手い作品だと思います。
投稿: yuuki | 2013年1月22日 (火) 01時04分