2013年12月25日水曜日

発達障害とOS
発達障害を理解するためのモデル

 身体障害のような目に見える障害とは違って、発達障害を理解したり説明するのは難しい。

 似たような事象をモデルにすればわかりやすいのではないかと思って、今まで自分なりに、「」や「色覚障害」になぞらえてみたけれど、どうもしっくりこない。
 それでも、懲りずにモデル探しをしていて、私が最近最も有力なモデルじゃないのかなぁ…と思うのは、パソコンのOS(オペレーティングシステム)。

 OSの詳しい仕組みについては、(素人なのでよくわからないけれど、私が理解できる言葉で)平たく言うと、OSはハードウエア(パソコン)とアプリ(アプリケーションソフトウエア)を仲立ちするソフトウエアで、個々のハードウエアの違いに対処したり、アプリを動かす時の情報の交通整理をしたり、パソコンを効率的に動かしたりする機能があります。

 メジャーなOSは、WindowsやiOS(他にもあるけれど…)で、とにかくコレ(OS)がパソコンに入っていない(インストールされていない)とアプリが使えない。


 発達障害の脳(ハードウエア)は、定型発達の人と変わらない。
スペックの高い(IQの高い)人もいれば、そうでない人もいる。

 脳のスペックは定型の人より良かったとしても、(計算が速かったり、処理能力が優れていたり、記憶力が良かったり、)でも、それが何の役にも立っていないケースがある。

 

 ハードウエアがどんなに良くても、OSもアプリも載ってなかったら使いようがないのと似ている。

 発達障害(特に自閉症スペクトラム)と定型発達の人は、インストールされてるOSが元々違うのじゃないかと思う。
中には周辺機器(知覚や感覚のスペック機能も違う人もいる)
OSが違うので、対応するアプリも違ってくるし、互換性もない。

 発達障害の人にはメジャーなWindowsでもiOSでもない、独自のOSが載っていて、それが個人個人で違っている。
なので、発達障害者同士での互換性も低い。
 定型発達と互換性の高いOS(同じアプリがそのまま使える)を搭載している場合「軽度」と呼ばれ、互換性が低いと「重度」と呼ばれているのではないかと思う。

 発達障害の人のOSでは、定型発達の人が使っているアプリはそのまま使えない。
どうしても調整が必要になってくる。
その調整の作業が療育や訓練と呼ばれるのだと思う。

 OSが違うので、インターネットのブラウザ(コミュニケーション)も、定型発達の人が使っているブラウザと同じ動きをしない。
これも、調整が必要。
 ある一定の環境で使う(自宅でインターネットに繋がずに使う)なら、何の問題もない。
けれど、他の人と共有したり連絡を取り合う時に問題が生じてくる。
(家庭生活では何の不都合も起こらないのに、家庭外の集団では問題が起こってくるとか…)

 今のところ私は、OSモデルで考えるとわかりやすいと思っているのだけれど、そのうち当てはまらない物も出てくると思う。
 そうしたら、また新たなモデル探しをするのかなぁ? 

7 件のコメント:

  1. すごくわかりやすい解説をありがとうございます 
    発達障害とは少し違うけれど目に見えない障害わが娘にもあります

    彼女は軽度と中等度の境界位の聴覚障害があり
    知らない人には「ちょっとぼんやりした子」
    くらいにしか感じられていないでしょう

    実際その傾向は2-3歳位にはあったのにしっかり確認できたのは小学校に上がる前

    よく聞こえてないせいか
    何事も人から一歩遅れることの多い彼女は
    「消極的」と評価されることも多く
    ペーパーテスト以上の評価をいただくことは無い むしろペーパーがいくら良くても
    平常点で下げられる

    年が明ければいよいよ高校受験
    せめて彼女が自分らしく試験に
    臨めるように関係各所に調整が必要

    母として子供をサポートするのは当然なのですが何が必要かを知ることは大変です

    できることはすべてしてあげたい
    世界中の母親の気持ちですね

    投稿: Lino | 2013年12月25日 (水) 09時24分

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  2. 上手な説明ですね。
    障害者スポーツ指導者養成会で私は知的障害の講師をします。
    知的障害を理解していただくために、同様にハードウェア、ソフトウェアを題材に話すことがあります。
    例えば「講堂と言うのはハードウェアです。演ずる人のために舞台があって、それを観る人のために座席があります。身体障害の場合、“舞台がない”とか“座席がない”とか、、、
    まあ舞台がないなら観客はそれなりに応用すれば良いし、座席がないなら立って観れば良いわけです。分かりやすいですね。
    ところが知的障害はソフトウェアです。つまり講演内容そのものがわからないなら観客は理解するのが難しい。。。
    いくらハードウェアが問題がなくとも、実施するソフトウェアに問題があるのです。
    そのソフトウェアの何処に問題があるか、ある程度、現在では傾向があるところまでわかっています。
    ですがあくまで傾向ですから、確率の問題であってすべての問題が理解できたわけではありません。
    云々」
    いかがですか?
    長くなるのでこの辺にしておきます。

    投稿: tora | 2013年12月25日 (水) 10時42分

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  3. 鶴岡八幡宮2024年9月5日 11:36

    ”たとえ”で理解を深めようとしているって言うのが、とても凄い!

    我が家は、(引越し前の地で)半年以上前に書いてもらった紹介状を持って、昨日やっと、こちらの直近の発達障害専門医院に行ってきました(^^;)。

    「障害者手帳を持ち続けるには、どうしても医師の診断書が必要になってくるから」と言う理由で受診しているのだけど、昨日の診察で初めて、「MRIを撮ってみましょう」なんて言われ、うまく説明出来ない違和感が(^^;)。

    おまけに、「療育をおすすめします」とも言われたけれど、8歳になってからの療育・・・?息子の「何に」アプローチしたいのかの説明無く勧められても、なんかしっくり来ないです。


    OSのたとえでいくと、そういう互換性の低さが見つかった場合、
    ・OSを修正、または更新して自ら互換性を高めさせようとする方法
    ・OSをそのまま、あるいは手修正でコツコツ直すようにし、現状で対応出来るアプリケーションを探してきてインストール、最適化する方法
    ・・・と、色々対応がありますよね。

    医療従事者の中には、”その中の一つの方法だけに特化している”方も見受けられ。
    色々な考え方の専門家がバラバラに対応しているために、当事者ばかりが混乱してしまう状況が続いている気がします。

    自分個人としては、息子を理解し寄り添うことが歳を取るごとに楽になってきているけれど、多分それは、私のOSが息子との互換性を時間をかけて高めた結果だと思う(もちろん、息子自身の努力や成長もあります!!!)。

    結局、人は皆、自分のOSをより高めあう生き物であるべきな気がします。
    「自分のレベルに合わせろ!」なんて、逆に下手な生き方だし、もったいないです。きっと。

    投稿: 鶴岡八幡宮 | 2013年12月25日 (水) 12時11分

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  4. お、ピッタリの例えですね
    あとは反応が重くてコマンドを上手く受け取れないとか
    すぐ固まってしまうとか、かしら。
    ザックリし過ぎかな(笑)

    療育は何のためにやるかをしっかりレクチャーを受ける
    事です。
    とはいえ、日本国内ではOT・PTなどでは表面的な事の
    経験しか増えません。
    発達障害は脳自体の機能をあげる必要があり、ワーキン
    グメモリーは無意味です。
    その為に私はIMのトレーナーになった訳ですが、まだ保護
    者自体の理解にかなり相違があるようです。

    来年は東日本でもIM関連の活動が増えそうです。
    ペアレント・メンターの知識も活かしつつ頑張らなきゃ

    投稿: 瀬津喩 | 2013年12月25日 (水) 19時58分

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  5. モッチーヌ2024年9月5日 11:38

    すごーい
    本当にそのとおりだなぁ・・・と思います。
    独自のOSを積んでいるから、自宅では何の問題もないけれど
    社会に出ると互換性がない・・・というわけですね。。。
    また、答えが同じでも導き方が違うときもありますね。
    本当にわかりやすかったです
    以前の色覚障がいになぞらえた記事でも
    私はとても勉強になりましたが・・・
    今回は発達障がいと無縁の人に説明しても
    よく解るのではないかと思いました。
    日本で有名な精神科医の先生が、自閉症という文化と
    言っていますが、OSに置き換えた方がよく解りますね

    投稿: モッチーヌ。 | 2013年12月26日 (木) 00時39分

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  6. みんなのコメを読んでると
    自分のコメがとても自己中心的で
    そぐわないように感じてしまった・・・

    ごめんなさい(人><。)

    投稿: Lino | 2013年12月26日 (木) 17時18分

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  7. >コメントくださった皆さん
    ありがとうございます。
    クリスマスでバタバタしていて、お返事が遅くなりました。
    スミマセンm(_ _)m


    >Linoさん
     お嬢さんが受験と言うことで、これから色々と大変ですね。
     目で見てわからないハンディキャップがあると、適切な配慮を受けるために親が働きかけていく必要があると思います。
     IEPの進んでいるアメリカでも、個人個人のニーズに合わせた配慮をお願いするのは親の仕事です。(自己主張の強いアメリカだからこそ、要求しないものは受けられないと言う感じもします。)
     私はLinoさんのコメント自己中心的とは思いませんよ~
     私も渡米したのは、我が子のことを第一に考えてのことでした。
    日本で頑張って教育のシステムを変えて行く努力も出来たと思うのですが、時間がかかるのでうちの子の成長には間に合わないと思ったからです。 まず自分の子どもを幸せにする親の義務を果たしてから、余力があれば周りにも広げていってもいいのではないかと思いました。
    (残念ながら、今のところ私には余力がないので、自分の子ども優先で動いています。)
     

    >toraさん
     講堂のたとえ、興味深いと思いました。
    たしかに、席の数なんかはパッと見てわかるし、対応もわかりやすいですよね。
    それに比べると、内容がわかったかどうかは、一人一人に確認しないとわからない。
     研究が進んで、見えない部分の問題を解決する方法が見つかるといいのに…と、思います。


    >鶴岡八幡宮さん
     お久しぶりです~お元気でしたか?
     8歳になってからの療育って全然遅くないですよ~
    うちの子は9歳で渡米して、それから英語を学んでますから、療育(内容にもよるけれど)は成長の助けになると思います。
     OSのたとえでいくと、発達障害の場合はOSを変えることは出来ないので、互換性を高めそうなアプリを選んで独自に調整していくしかないのが現状だと思います。
     療育のサービス(アプリの種類)は色々あるけれど、全部インストールする必要はなくて、自分に合いそうなもの自分の好きなものを選んで、使い方を工夫していけばいいのだと思います。
     専門家の話を鵜呑みにしないで、自分で判断していくことも必要だと思います。
    私は日ごろの観察と勘(霊感?)で、息子に合いそうな対処の方法を選んでます。
    (そんなにいい加減でいいのか?と思いますが、今のところ上手くいっています。)


    >瀬津喩さん
     反応が重くてフリーズしちゃうって、ありますね~
    発達障害ってパソコンに似ているのかも、具体的に詳しくコマンドを出さないと動かない。
     私が日本にいた頃の療育は「専門家にお任せ」って感じで、家族が療育を受ける人のニーズに気が付いていないことって多かったです。
    専門家も意見を言われるのは嫌がって「黙って指示に従え」みたいな雰囲気だった。
     今は、どうなんだろう?


    >モッチーヌさん
     発達障害について全く知らない人に説明する時に、専門用語を並べるよりは、
    「うちの子みんなとOSが違うから、アプリが動かなかったり、誤動作することがあるんだ~(例えば空気が読めないとか…)」
    って、話したほうがわかりやすいかと思って…
     でも、パソコンのこと全く(ほとんど)わからないジジババの世代には、使えないけれど…

    投稿: yuuki | 2013年12月27日 (金) 05時05分

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