2012年2月27日月曜日

義務教育での留年


 この間インターネットをブラウズしていたら、

大阪の橋下市長が「小中学生でも学力のレベルに達しない場合は留年させるべき」と発言して、教育委員会に義務教育過程での留年を検討するように指示した

と、言うニュースを目にしました。

 日本では義務教育での留年は実質上無いに等しいので、「同じ学年=同じ年齢」を意味するけれど、アメリカでは義務教育過程での留年(特に小学校低学年での留年と高校生の留年)は珍しくないです。

 アメリカの義務教育は(州によって違うけれど)、日本の幼稚園の年長あたるキンダーから、高校3年に当たる12学年までの13年間。
 小学校のうちは学級制で全教科同じクラスメイトと一緒に勉強する。中学校からは教科毎の習熟度別のクラスで、教科毎にクラスを移動、一人一人で時間割が違うし、学年の違う生徒が同じクラスで勉強することも多い、日本の大学のような感じです。

 小学校では、学年末に実施される全国学力テストで留年かどうかが決まります。
学力テストの学校平均点が低いと、学校への補助金が削られる(教師の給料も減る)ので、教師もおちこぼれを作らないように努力するし、学力テストで一定のレベルに達していないくても、夏休みにサマースクール(有料)に通って補習を受けて進級できるレベルまで学力を伸ばす努力をするので、ほとんどの子は留年せずに進級できていると思います。
 留年とは逆に、学力レベルの高い子は、飛び級でより上の学年に進級できます。

 小学校で留年(飛び級)すると目立つけれど、中学校以上になると単位制なので、成績不良や出席不良で単位数が進級するのに足りなかったら留年になりますが、元々クラスが違う学年の子で構成されているので、誰が留年しているのかわかりにくいです。
 中学・高校でも、落とした単位を拾うためのサマースクール(有料)に通って進級に必要な単位を取得する子もいます。 

 中学・高校になっても学力テストはありますが、進級テストとしての意味合いはあまりないと思います。
(実は、は長い間ESLのテストを、怪獣は特殊教育のテストを受けてきたので、普通の子の受ける学力テストについてはあまり知らないです。)

 英語が母国語でない生徒で、アメリカの学校に通って1年未満の子は学年末のテストが免除されるし、IEP(特殊教育)を受けている生徒は一般の学力テストとは別のテストを受けてその成績で進級できるかが決まります。

 私が今まで住んでいた市では、それぞれの子どものニーズに合わせて学力を伸ばす努力をして、「留年が学力の向上に最も適していると判断された場合のみ留年」と、言う感じでしたが、今回の大阪のケースはどうなのだろう?

 何を基準に留年が決まるのだろう?学習障害や発達障害などは考慮されるのだろうか?補習などの学力を伸ばす手立てはあるのだろうか?ニュースの記事には詳しく書かれていなかった。
 個人差を考慮しない一律の学力テストや、担任の主観的な評価などで留年が決まるのは不公平だし、救済のシステムがないままの留年なら、「見せしめのための留年」で同じ学年を何度繰り返しても学力は向上しないような気がする。
  

9 件のコメント:

  1. こんにちは。

    おっしゃる通りと思います。
    まさに「見せしめの留年」「見せしめの府内バス運転手給料4割削減」「見せしめの改革」…見せしめだらけです。

    子どものニーズに合わせた教育など、ほとんどできていない日本において、橋本さんのやろうとしていることは、子どもを排除し殺す教育です。
    あまりにばかばかしくて、ニュースを見るたび笑ってしまいますが…^^;

    日本には特殊教育のテストもサマースクールもないので、もしこれが現実となったら
    大阪に住む子どもたちの学力格差と閉塞感を加速させるだけでしょうね。

    だれか彼の目を覚まさせてあげられる人はいないのかと、友人と話をしていますが(汗


    ESLや特殊教育のテストがあることは知らなかったです!子どものニーズに合わせられる仕組みができていることはとても素晴らしいですね^^

    今の日本は、親の努力と理解のある先生に会えるかどうかの運だけで子どもたちの将来が決まってしまうのが現状なので…(;´Д⊂

    投稿: 2012年2月27日 (月) 14時40分

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    1. >藤堂さん
       
      >日本には特殊教育のテストもサマースクールもない
       
      日本の教育を取り巻く状況は、私が日本を出たときからあまり変わっていないのですね。
       
      適切な学力をはかるテストもフォローアップもなしでの留年制度が導入されたら大変なことになりますね。
      特に中学は、塾に通ったり家庭教師をつけられる裕福な家庭と、そうでない家庭の格差が顕著にでてきそうで問題ですね。

      >ESLや特殊教育のテストがあることは知らなかったです

      ESLのテストの方は州によって対応が違うかもしれませんが、IEP(特殊教育)のテストは全国規模の規定が設けられていると思います。

      >子どものニーズに合わせられる仕組みができていることはとても素晴らしいですね

      勉強する時に助けが必要な特殊教育だけでなく、能力が優れた子どもに対する特別な教育プログラムもあって、それぞれのレベルに合せて能力を伸ばす機会があるのは、アメリカの教育制度のいいところだと思います。
      投稿: 2012年2月28日 (火) 06時18

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  2. ご無沙汰しています。
    yuukiさん、お元気ですか?
    今回は義務教育の留年問題がテーマですね。
    コチラは大阪ではないので、どのような意図で留年制度が提案されたのか分かりませんが、公立小中学の教員数を増やして 1クラス20人以内・学科ごとの習熟度別クラス編成・各テストごとのクラス替え・学習障害とまでは行かなくても、取っ掛かりでつまづいている児童生徒が分かるまで教員がシッカリ指導する…などの必要最低限の制度が整っていないなら 留年制度を導入する意味がないと思う。 今の日本の教育制度では 留年制度を採用したら卒業出来ない子供達が増えるだけ…。
    それくらい、教員に熱意が欠けて来てるのがコチラの状況デス。

    投稿: 2012年2月28日 (火) 09時58分

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    1. >梓さん

      お久しぶりです
      お元気でしたか?

      日本での留年制度実施に問題があるのは、教師の熱意と言うよりも、教育行政に多くの原因がある思います。
      日本の公立学校の教員は公務員なので、色々な制限が多いのも個性やニーズに対応した教育をしにくくなっているように思います。
      投稿: 2012年2月29日 (水) 04時50分

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  3. 鶴岡八幡宮2024年6月22日 1:30

    橋本さんの話題が絡んでいたので、一言コメントを残そうかと・・・(^^;)。我が家は今、大阪府内に住んでいるので(^^;)。まあ、”市外”ですけど。

    留年制度は確かに、私個人にとっても余り賛同出来ない話です。飛び級制度については逆に賛成出来る部分があるんですけどね。

    我が長男も、LDSファミリーサービスのアドバイザーの助言もあって、最近医療機関に受診して。「軽度の自閉傾向を伴う広汎性発達障碍」との病名を貰いました。まあ、確かに軽度の部類だろうと親の目から見ても思うので、4月からの小学校に”通級”扱いで通う事にもある程度納得しているんですけど、「勉強についていけず留年した」なんて言う既成事実を突きつけられたら、二次障碍、確実に出てしまうかもです。

    橋本さん自身も6人だったか7人だったかのお子さんを持つ父親でもあるので、子供の教育に対して常軌を逸したリーダーシップを発揮しないだろうとは思っているんですけど・・・。府知事選挙では維新に投票したので、何かあった時の責任の一端は自分にあるのかもしれません・・・(--;)。

    投稿: 2012年2月28日 (火) 10時48分

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    1. >鶴岡八幡宮さん

      長男くんは普通学級在籍で、支援級に通級ですか?
      4月に新一年生だと、色々準備も大変ですね。

      >「勉強についていけず留年した」なんて言う既成事実を突きつけられたら、
      >二次障碍、確実に出てしまうかもです。
       
      実はうちの怪獣もアメリカの小学校に転校した時に留年しています。
      転校直後は4年生だったのですが、授業についていけなくて、3年生に学年換えをしました。

      アメリカでは低学年での留年は多いので、誰も気にしていないし、二次障害にも発展しませんでしたが、日本だと留年すると精神的にきついと思います。
      たとえクラスメイト(子どもたち)が気にしていなくても、クラスの保護者があれこれ噂して子どもに偏見を植え付けそうで、そっちの方が二次障害の原因になりそう。
      日本は横並びじゃないと生きにくい社会だと身に染みて感じます。
       
      投稿: 2012年2月29日 (水) 05時14分

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  4. IP***.***.***.1812024年6月22日 1:33

    アメリカだって、高校出たらトラックの運転手とか工場の作業員とかに就職する人や、美容師や調理師の専門学校に行く人、どっかの店でバイト生活するフリーターや、独学で浪人生活する人とかいると思うから、成績なんかじゃ留年させないと思う。だって、どうせ大学に行かないなら成績なんか関係ないじゃん。だって、家にお金の無い人は大学に行けない。浪人して予備校に通っても、途中でやめて働く人だっているんじゃないの?要するにアメリカも日本と同じで、大学だけが厳しいんだよ。

    投稿: | 2016年8月30日 (火) 18時53分

    家が貧しくて保育園や幼稚園に行けない人は、大学にも行けないでしょう。下手したら高校だって行けないかもしれません。それに、家がお店で父を亡くして母と自分と弟や妹が多い家庭の人は、学校に行かないで働くような生活を7歳くらいからやってるだろうから、成績は悪いし、欠席オーバーかもしれないけど、中学出て働くならそれでいいんじゃないんですか?重い病気で来れない人や車椅子生活の人は欠席オーバーなのはしょうがないし、知的障害者は成績が悪いのはしょうがないし、田舎とかで朝6時半に起きなきゃ学校に通えないような人を成績が悪いだけで留年なんかさせますか?高校に行かないで実家の農家や牧場や工務店で働くような人を、高校じゃないなら欠席オーバーでも卒業できると思います。

    投稿: | 2016年8月30日 (火) 18時50分

    大学以外は成績では留年しないと思う。だって、高校出て浪人して予備校を途中でやめて働くなら、成績なんか関係ないでしょ。それに、中学を出て働くなら成績はもちろん欠席オーバーでも卒業できますからね。だって、どうせ来ない人間を10年も20年も留年させたってしょうがないじゃん。

    投稿: | 2016年8月30日 (火) 18時43分

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    1. >IP***.***.***.181さん

      訪問&コメントありがとうございます。

      ご意見ごもっともなのですが、日本の状況とアメリカの状況はあまりにも違いすぎて、日本の留年の考え方をそのまま当てはめるのは難しいです。

      昔はともかく、今は貧しくて親の手伝いをして働かなければならないから学校へ通えない子がいたら、親が通報されて子供が親からとりあげられます。

      記事の中にもかかれているように、義務教育では障碍者や移民してきた外国人には別のカリキュラムがあるので、単に成績が悪いだけでは留年にはなりません。

      義務教育なので、通学も学区内(ほぼ歩いて通える距離)からの通学で、学校から2マイル(約3.2㎞)以上離れているところにはスクールバスも出ます。

      アメリカの中学校や高校は始業時間が早い(午前7時頃)です。
      娘の通っていた高校は、(選択科目ですが)朝5時50分からの授業もありました。
      小学校も始業時間(午前8時頃)の1時間前(午前7時)には子供を学校に送って仕事に行く人のために開いているし、朝の給食もあります。
      通学時間が長くて、朝が早くて、成績に響いて留年ということまずありません。

      アメリカの義務教育はハイスクール(高校)までですが、日本のように義務教育の期間を過ごしたら自動的に高卒の学位が貰えるわけではありません。
      学校に通って単位を取るか、類似の機関やホームスクールで必要な単位をとらなくてはいけません。
      高校卒業の学位や資格を取る事ができないまま、学校を辞める人もいます。

      アメリカの大学(カレッジ)は入学試験のないところも沢山あるし、学期毎に(1年に3回~4回)入学申し込みできるので、進学希望者で浪人して受験勉強をする人はまずいません。
      予備校も日本のようなものは見たことがないです。

      希望の大学に入れなくても、別の大学で暫く勉強してから希望の大学に転入することも可能です。
      希望の大学に入る方法が何通りかあるので、日本のように浪人する必要がないです。

      大学は入学金がないところがほとんどだし、授業料免除や奨学金も給付型(返さなくてもいい)のものがあるので、経済的に恵まれない人も大学に進学可能です。

      また、高校を卒業した後、働いてある程度学費を貯めてから大学に進学する人もいるし、働きながらパートタイムの学生として大学に通う人もいます。


      投稿: 2016年8月31日 (水) 02時26分

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  5. IP***.***.***.1812024年6月22日 1:35

    欠席オーバーでの留年は高校から、成績での留年は大学からだと思います。だって、成績なんか社会に出たら関係ないじゃないですか。どっかの工場で働くのに学力なんか関係ないでしょ。大学は出なくてもいい所だしね。高校は義務教育じゃないから欠席オーバーしたら留年だけど、中学までは欠席オーバーしても留年しません。だって、中学出た後で高校に行かないで働く人間を留年させたってしょうがないでしょ。実家がラーメン屋なら中卒でも就職できます。

    投稿: | 2017年7月12日 (水) 14時56分

    留年は大学からです。だって、大学はAVホールで授業を受けたりするけど、小学校から高校までは各クラスの教室で、全員が同じ時間割の授業を受けるから、出席さえしてれば成績関係なく卒業できるんですよ。自分が1年の時に、1年後は1コ下が入って自分は2年になり、2年後は2コ下が入ってきて自分が3年になるなら、全員が全員同じ科目を落としたら教室がパンパンになると思う。

    投稿: | 2017年2月 3日 (金) 13時21分

    アメリカに、偏差値35の公立高校があったとして、そこに落ちて働く人は、成績がどんなに悪くても留年しないんじゃないんですか?また、高校をやめて高認を取る人は中学や小学校をやめても同じなんだから、欠席オーバーなんかじゃ留年しないと思う。高校だって、大学に落ちて浪人したり、就職が決まらなくてニートになるなら、成績での留年は無く欠席オーバーのみだと思う。日本と同じで、留年は大学からじゃない。

    投稿: | 2016年11月18日 (金) 11時49分

    高校って2回目の留年は強制退学になりますよね。だったら、小学校や中学校を2回留年したら強制退学になるんでしょうか?どうせ中学出て高校に行かなかったり、「高認」取って大学に入って大学をやめたら、中卒も小学校中退も中学中退も同じだと思う。だって、実家が会社で社長が父親なら学歴なんか関係ないでしょ。

    投稿: | 2016年9月19日 (月) 10時18分

    小学校も中学校も、ずっと赤点ばっか取るような人間を10年も20年も留年させたってしょうがないと思う。だって、そんな事したら学校がパンパンになるでしょ。特に生徒の多い学校は。

    投稿: | 2016年9月18日 (日) 12時10分

    アメリカにも、日本と同じで田舎があり、大工や鳶や工事現場や土木作業やトラックの運転手や工場の作業員など、中学出てずっと働くような人間がいて、そういう職場は学歴よりも、普通免許と大型免許やけん引免許とか、そういう学歴より資格で採用したり、飲食店や農家や牧場など、学歴より忍耐力などを求めたりするだろうから、家から車で30分の所に小学校や中学校のある人、高校が寮生活しないと通えないような人は、小さい時から学校に行かないで働いてると思うし、電車が1時間に1台や30分に1台とかなら、欠席オーバーで学校に来れないのはしょうがないし、別に勉強ができても仕事ができなきゃ、お金は稼げないと思う。

    投稿: | 2016年9月17日 (土) 15時56分

    幼稚園も小学校も中学校も1回も行かないで「高卒認定」に受かって、18歳で大学や専門に入って、すぐに中退した人間は、「大学中退の中卒」でいいんじゃないの?だって、大学やめてどっかで働く人間なんか小学校や中学校を出てようが出てなかろうがどうでもよくねぇ?そいつが、学校に行かずに実家の弁当屋で毎日働いてたとかなら、小学校や中学校は欠席オーバーでも成績不良でも留年しないと思う。だって、どうせ来ない人間を10年も20年も留年させたってしょうがないしね。

    投稿: | 2016年9月13日 (火) 12時00分

    確かアメリカって「高卒認定」がありますよね。だったら、それに受かれば大学を受けれるし、小学校も中学校も9年間1度も出席しなくても卒業できるんじゃないんですか?だって、大学に入ってしまえば、小学校と中学校になんか行く必要が無いでしょ。どうせ、家が貧しくて高校に行けなくて働くなら、小学校と中学校が成績不良でも欠席オーバーでも関係ないですからね。

    投稿: | 2016年9月10日 (土) 13時45分

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