テンプル・グランディンは2010年の作品※。
コロラド州立大学の動物科学の教授で、高機能自閉症を持つテンプル・グランディンの伝記映画で、母さんのブログで紹介されていて興味があったので図書館から借りてきて観ました。
1947年生まれのテンプルが幼少~学生時代を過ごした1950~1970年代は、自閉症に対しての医学的な研究も社会的な理解も進んでいない時代で、
1970年に大学を卒業しているテンプルは、70年代に始まるIEP(個別指導計画)の恩恵を受けることなく育ちます。
(←テンプルが自閉症の診断を受けるシーン。
医師が、「自閉症は母親との結びつきの欠如が原因で起こる」
と、説明しているのに対して、
テンプルの母が
「自分達にはもう1人子どもがいて、姉妹はテンプルのようではないこと、姉妹と違う育て方は一切していない」
と、言い切ります。
治療法を訊ねる母に、
医師は自閉症の治療法はないこと、かわりにテンプルを施設に入れる事を勧めます。)
映画はテンプルが全寮制の高校を卒業して、大学に入る前の夏休みを過ごすために、伯母の農場を訪れるところから始まりますが、
それ以前の出来事は回想シーンとして所々映画の中に出て来る形でストーリーが展開していきます。
(←大学のフランス語のクラスのシーン。
テンプルが見たページを一瞬で画像として記憶してしまう、映像記憶を持っていることが上手く描写されているシーン。)
自閉症に関連する特質のために、テンプルも家族も、周りの人間に受け入れてもらうのに苦労します。
偏見や無理解から虐めたりつらく当たる人もいる中で、テンプルを理解出来るように努力して助けてくれる人もいて、テンプルが周りの人間と関わる方法を身につけていくと共に、自閉症の視点を周りの人に説明して理解してもらうように動き出すまでの過程が描かれていて、興味深い映画でした。
(←テンプルを理解し助けてくれた、高校の科学先生とテンプルの母との会話のシーン。
全寮制の学校にテンプルを残していく事を、ためらう母親を説得する。)
映画としては、テンプル役のクレア・デインズの演技が秀逸。
テンプル本人が「(撮影されたフィルムをみて)自分(そのもの)だと思った」と特典映像の中でコメントするほど、テンプル本人の行動の特徴を演じきっているらしいです。
クレアも特典映像に出演していたのですが、映画のテンプルとは話し方や立ち居振る舞いが全く違う。
はじめ見た時は「こんな人映画に出てきたっけ?」と思った。
(クレア・デインズは、以前の記事でクリスマス映画の1つとして紹介した"The Family Stone"邦題は「幸せのポートレート」で、主人公の妹役を演じていたのですが、テンプルとのキャラクターのあまりの違いに、同じ女優さんだとネットで検索するまで全く気がつかなかったです。)
※
テンプル・グランディンの映画を制作したHBOフィルムはケーブルテレビ会社の1部門で、メジャーなフィルムメーカーでないためか、日本では劇場公開されていません。
Amazonで輸入したDVDを販売しているようですが、リビューを読むと日本語の字幕がついていないし、日本のDVDプレーヤーでは再生できないケースもあるみたいです。
インターネットでは日本語字幕のついている動画があるみたいで、母さんのブログのコメントに情報がありました。
特典映像があるんですね~
返信削除みてみたいなあ・・
テンプルグランディンを演じた女優さんは
本当にハンデのある方なのかと思うほど
演技が自然でびっくりしますよね。
ご本人に自分だと思ったと言われたのには
納得でした。
身近に自閉系の方がいるのかな・・?
と思いました。
投稿: 2012年5月30日 (水) 15時34分
>母さん
削除リンクの許可ありがとうございます。
特典映像のほとんどは映画の製作の様子でした。
本人が出てコメントしたのは20~30秒くらい。
あとは、撮影のシーンでアドバイスをしているテンプルさんが所々に写っている感じでした。
投稿: 2012年5月31日 (木) 09時53分