発達障害をもっている人は国語のテストが苦手な人が多い。
特に物語文(小説)などの、登場人物の気持ちや考えや心情を答える類の問題が苦手なのではないかと思う。
私も、「主人公の気持ちは?」とか「作者はどういう考えだったでしょう?」と言う問題に、
「そんなの、本人じゃないから分からない」
と、書けたらいいのに…と何度思ったことか…
クリスマス休暇で娘が帰省していた時に、小学校の頃、国語の『わらぐつの中の神様』と言う物語のテストで、不正解だった問題で未だに何故不正解だったのか分からないものがあると、言う話になった。
『わらぐつの中の神様』のあらすじは、
藁沓なんかみっともない、と言う孫娘に、おばあさんが藁沓にまつわるお話を聞かせるというもので、
そのお話は、
少しばかり昔のこと、雪国に住む、みつという少女が朝市で見つけた綺麗な雪下駄が欲しいと思うけれど、みつの家は貧乏の子沢山で雪下駄を買う余裕はない。
家に余裕がなくて雪下駄を買って貰う事ができないなら、自分で藁沓を作って野菜を売る時に一緒に売って、お金を貯めてお目当ての雪下駄を買おうと計画する。
みつは、父親が以前に作っていたのを思い出しながら、見よう見まねで、使いやすいように、丈夫で長持ちするように心を込めてつくるのだが、出来上がった藁沓は不格好で見栄えが良くない。
市場で野菜と一緒に作った藁沓を並べて売ろうとするけれど、不格好な藁沓は売れないばかりか、からかいの的になって笑われてしまう。
そんな時に、藁沓を買ってくれたのが若い大工さん。
自分の作った藁沓が売れて嬉しかったみつだが、次の市でもその次の市でも、その大工さんはみつの作った不格好な藁沓を買っていくことを不思議に思う。
ある日若い大工さんに、自分の作った藁沓がすぐ壊れてしまうので、毎回藁沓を買ってくれているのではないかとたずねると、
若い大工さんは、
「不格好だけれども、使う人の事を考えて丈夫で長持ちするように作られているから、周りの人にも買ってあげているんだ」
と、答えて、
「そんな、藁沓を作るみつさんとずっと一緒に暮らしたい」
と、プロポーズする。
実はそのみつさんが、お話をしているお祖母さんで、若い大工さんがお祖父さんで、2人は結ばれてハッピーエンド。
と、言う話である。
うちの娘の国語のテストの話に戻るのだが、件の国語テストの問題には、多分初めて藁沓を市に出した時の場面であろう、みつさんが野菜と藁沓を並べて売っているのを、若い大工さんが見ている絵が描かれていて、みつさんの方には会話の吹き出し、若い大工さんの方には思考(心の声)の吹き出しがついていて、それぞれの吹き出しをうめるという問題だったらしい。
娘は、みつさんの会話の吹き出しには、「わらぐついりませんか?」を入れて丸を貰ったのだけれど、若い大工さんの思考の吹き出しの方には、「可愛い子だなぁ…」を入れてバツを貰ったらしい。
テストが返却されて、不正解になったことが納得いかなかった上に、その「可愛い子だなぁ…」の(迷)解答をみた数人のクラスの子に、大笑いされたのが悔しくて、忘れられないテスト問題になったようだった。
娘が
「どうしてバツになたんだろう?可愛いと思ったから(雪下駄を買うのを助けるために)藁沓を買ってあげたんでしょう?」
と、言うのだが…
(*゚o゚)/チョトマッタ~ァ!!
それは…完全に『心の理論』が欠如した思考パターンだよ。
不格好な藁沓をみつさんが売っているのを最初に見た時の、若い大工さんの視点が理解できていない。
みつさんは藁沓を売って雪下駄を買うお金を作ろうとするけれど、そのことを若い大工さんは知らない。
結果的には、若い大工さんがみつさんを気に入ってプロポーズする事になるのだけれど、その時点では若い大工さんはプロポーズしようなんて考えていなかった(と、思いたい)。
<もしも、若い大工さんが、みつさんの気を引くために、藁沓を選んで買い続けていたとしたら、(予想もしていなかったものを褒めて印象付けるという)人の心理をうまく掴んだ相当なテクニックの持ち主という事になってしまう。
女性慣れしている遊び人か、心理学をかじったことのある現代の若者とかならまだしも、あの時代の若い大工さんが、それを自然にできると考えるのには無理がある感じがする。
100%ないとは言い切れないが、小学5年生の国語で扱う題材としては不適当だろう。
とにかく、若い大工さんが藁沓を買ったのは、みつさんの気を引くためではない(事になっている筈である)。
そもそも、みつさんとの会話のきっかけを掴むためだけなら、野菜を毎回買ってあげてもいいわけで、なぜ藁沓なのかという事の説明にはならない。
私もこの手の問題は苦手なので、正解かどうかは自信はないが、恐らく若い大工さんの思考の吹き出しの中には、藁沓に興味をもっているような言葉を入れれば正解なのではないかと思う。
定型発達の人はどう解答するのだろう?
正解を得る人は、定型発達というか、教師対応適合が上手にできた子でしょう。
返信削除教師の顔色ばかり窺う子を作る、日本の学校教育制度の矛盾ですね。
投稿: 正体不明 | 2016年1月 7日 (木) 08時27分
この記事参考に、私のブログで書かせていただきました。
削除http://manabizz.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-cefb.html
日本の学校教育の、「官製感動=教科書の指導書通りに感動する」による点取り教育の弊害を書いたつもりです。
アメリカでもやはりそうなりますか?
┐(´д`)┌ヤレヤレ
投稿: 正体不明 | 2016年1月 9日 (土) 09時24分
「可愛い子だなぁ…」に一票。
返信削除私は、朝市なんかでも、売っている人を見てから買い物をする人です。
投稿: あのこら | 2016年1月 7日 (木) 08時39分
娘さん別に間違ってはないと思うけど
返信削除小学生の答えとしてはちょっと違うのかな?
答え合わせではどういう解答が
正解だったのかわからないけど
私が書くとしたら
「年頃の娘が藁沓をからかわれてかわいそう」
という気持ちかなあ?と思った
買い続けた理由は本人の言う通り
使ってみたら意外と使い勝手が良い
いい品物だった
使う人のことを考えて
藁沓造りに励む少女に好意を持った
こういう流れなのかな?
まさに作者じゃないからわからないだと思う(≧▽≦)
娘さんの答えも高校生くらいだったら正解の解答だったかも?(*´▽`*)
投稿: Lino | 2016年1月 7日 (木) 08時43分
こういった問題は、長男も次男も苦手ですね。
返信削除いかにして答を書かせるか、は、毎度長期休みの私の課題です。
本人、ものすごく苦労しているのを傍で見ていると、どうしたらよいのか悩みます。
・・・他人の立場にたって物事を考えること・についての設問だと思うんですがね~難しい。
私自身の回答としては、
「不恰好だけど、きっちり作ってある良さげな藁沓だな」
で、多分丸がもらえると思います。
文章中に出ている表現を使えばもっとよいでしょう。
物語の前後を知っていたとしても、そこの設問にあげられている範囲内で分かることのみで解答せよ・というのが小学校くらいのテストの難易度だと思います。
投稿: アールグレイ | 2016年1月 7日 (木) 09時34分
お邪魔します。 「この藁沓、丈夫そうだな、ためしに買ってみるか」でしょうね、正解は。 沓に視点があることなのでしょう。 そりゃー娘の容姿に視点がいけば、「かわいいー」か「美しい」それも男性の視点。ここのブログは、いつも感心して読んでます。 ちなみに、私、アメリカで二番目に広い州の片田舎で科学教科の教師をしていますので、他の州の教育要綱に興味があり、ここのサイトを長いことROMしてました。 学校に日本人(東洋人)は、私一人、未だに何故採用されたのかが、なぞ。 では、またいつか、お邪魔します。
返信削除投稿: kazoo | 2016年1月 8日 (金) 04時43分
正解で二重丸で良いのでは。(笑)
返信削除不細工な藁沓だけど可愛い娘だし・・・買ってみたら予想外に耐久性がよかったのでリピーターに。
定型という概念自体が怪しい。質問をつくった人が偏向妄想発達し過ぎかも。
投稿: 格子線表示 | 2016年1月 8日 (金) 08時25分
こんばんは!
返信削除ふふふ
娘のご意見はリアルライフ!ですね。
貧しい暮らしで物を売って欲しい物を買うということが普通の状態のみつさんや大工さんの気持ちを想像するのは難しいかもしれませんね。
生活は満ち足りていて、余分に欲しい物を買うために働くのが普通ですものね。
勉強ですから知識としては知っておくべき感情だと思いますが、娘さんのご意見は「ホンネ」だと思います。
大工さんも藁履が先かみつさんが先かは本当のところはわかりませんもん。
娘さんのおかげで教材のお話がより深いお話となったような…
(^ω^)
投稿: ミナゾウ | 2016年1月 9日 (土) 00時06分
あれれ?私も「かわいい娘だなあ、藁沓も買ってあげようか」と入れましたよ。
返信削除投稿: ゆ~ | 2016年1月 9日 (土) 11時52分
>コメントくださった皆さん
返信削除訪問&コメントありがとうございます。
「可愛い子だなぁ…」という娘の解答に共感して頂ける方が意外に多くて、驚いています。
同時に、それなら、なぜ娘の解答は不正解だったのか、クラスメイトに笑い飛ばされたのか、新たな疑問がわいてしまいました。
>正体不明さん
記事まで書いていただいてありがとうございました。
まだ、その記事は読んでいないのですが、後で訪問させていただきます。
確かに今の日本の教育は、導要領に書かれた答えを見つけ出すことが、いい成績を取るための必要条件になってますね。
私も子どもの頃、国語のテストでは「自分の思った通りに書いてはいけない」ことを学びました。
アメリカでは、この形式の問題がテストに出される事はないです。
もし、出されることがあったとしても、4択や3択など答えの中から選ぶ形だと思います。
移民の国で様々な価値観があるので、答えを一つに統一するのは不可能だからだと思います。
>あのこらさん
あのこらさんも、「可愛い…」に共感なのですね。
頂いたコメントを見ていると、男性の方の共感が多くて、国語のテストとしてはともかく、現実は売り手を見て買っているんだなぁ…と思いました。
>Linoさん
つぶの方でも面白いサイトの紹介ありがとうございます。
まだ初めの部分だけで、全部は読んでないのですが面白そうなので、週末に読んでみようと思います。
模範解答は「丈夫そうな藁沓だなぁ…」なんですね。
>アールグレイさん
国語の教材ですから、現実はどうであれ何らかのルールがあって答えが決まっているのだと思います。
アメリカでは要約や論文の読み書きが主流で、主人公の気持ちを問う問題はあまり見かけません。
あったとしたら、文章の中から根拠を提示する形です。
おかげで、怪獣(息子)は助かったようなのですが…
>kazooさん
こんにちは~ROM&コメントをありがとうございます。
公立学校の先生をされているのですか?
公立学校の教師は就労ビザの関係で、外国語以外の教科で外国籍の人が採用されるのは珍しいですよね。
(アメリカ人が配偶者で永住権保持者の方が教師をされているのはよく見かけるのですが…)
国語の問題としては沓に視点がある事なんですね。
日本の国語のテストは、採点後に答え合わせはしても、どうしてそれが正解なのか解説してくれないのが困りますよね。
(答え合わせさえしてくれないこともあるし)
英語と比べて日本語は曖昧な部分が多いので、テスト問題にするのは難しいような気がします。
>格子線表示さん
格子線表示さんも「可愛い子…」共感派なんですね。
これだけ共感する方が多いのに、どうして国語の問題だと不正解になるのだろう?
その時の先生も、ちゃんと娘が納得いくように説明して欲しかったです。
>ミナゾウさん
そうですね。
貧しいなかで、自分の欲しいものを手に入れる大変さに関しては、私も含めて経験がないので、想像しにくいですね。
この物語の題名「わらぐつの中の神様」から推測しても、男女の恋愛に焦点が置かれているのではなくて、藁沓(物づくりの精神)の方の視点が中心に解釈するのが国語の解答としては無難ですよね。
(一方、「わらぐつの中の神様=縁結びの神様」と言う解釈も成り立ちますよねぇ…)
国語って難しい…
>ゆ~さん
可愛い子だから買ってあげよう。
うちの夫ともこの件について話したのですが(男性の視点だったからなのか)、売り物の品質もさることながら、まず誰が売っているかが気になると言っていました。
不格好な藁沓と若い娘の組み合わせが、(宣伝効果バッチリで)目を引いたのだろうと…
投稿: yuuki | 2016年1月10日 (日) 02時45分
遅ればせながらおじゃまします!
返信削除記事中でyuukiさんは「初めて」藁沓を市に出したときの挿絵だろうと書かれているので、私なら答えは「不恰好だけど丈夫そうな藁沓だから買ってみようかな」とか書きます
もしこの挿絵が大工さんが何度も訪問している最中だったら、もしかしたら「可愛い子だなぁ」と思い始めているかもしれないけれど・・・
本文中には「使う人のことを考えて丈夫な藁沓を作るみつさんと結婚したい」というような一文はあるけれど、「可愛いから」という言葉はどこにもないので、答えとしてはバツになっちゃうのかな~
でも、そこまで想像力を膨らました娘ちゃんに、私なら花マルあげたいです
投稿: モッチーヌ。 | 2016年1月11日 (月) 12時44分
>モッチーヌさん
削除訪問&コメントありがとう~
コメントは何時でもどの記事でもいただけると嬉しいです。
気になさらずに、コメントいただけると嬉しいです。
他の方のコメントでも「可愛い」支持派が多くて私も驚きました。
国語の問題と現実の答えは違うんだよなぁ…と思いました。
国語用の答え(英語のテストの答えもそうだけど)って、なんか生きていないというか、死んだ標本みたいでつまらないですよね。
投稿: yuuki | 2016年1月13日 (水) 00時29分
発達障害は現代文苦手な人が多いんでしょうか?
返信削除私はADHD&ASDですが、現代文だけは大得意でした。
投稿: ふうぷう | 2016年1月21日 (木) 13時24分
>ふうぷうさん
削除こんにちは~
(もしかして、明けましておめでとう?)
訪問&コメントありがとうございます。
私は物語文が苦手です。
文法や説明文は得意で、物語文も登場人物の心情を訊かれる質問以外は問題がなく、国語の成績はよかったです。
うちの娘もそのタイプなのではないかと思います。
投稿: yuuki | 2016年1月22日 (金) 03時23分
yuukiさん、こんばんは。
返信削除このエントリをネタに
yoshi-s.cocolog-nifty.com/cpu/2016/02/post-bd36.html
に書かせていただきました。
私の答えは、「…」(何も考えていない)です。若い大工はわらぐつの中の神様に呼び止められたから、訳もなく、ふと立ち止まったのではないかと思います。
国語のテストで登場人物の心情を答える問題は苦手でした。今も苦手です。
文章中に答えが書いてないので、推測するしかない。ところが、国語のテストは、登場自分物の心情を推測するのではなく、誰かが推測した「模範解答」を推測するテストになっているような気がします。
空気が読める人は、先生の言動や周りの人の言動から模範解答を推測することができるのでしょうが、空気が読めない者にとっては「模範解答」が理解できない。
正解を聞いても、それは「模範解答」ではなく「一つの解釈だよね」と思ってしまう。
投稿: | 2016年2月19日 (金) 20時18分
>Yoshiさん
削除こんにちは~
訪問&コメントありがとうございます。
OSのアップデートがうまくいかず、PCが使える時間が少なくて、なかなかお返事できず申し訳ないです。
Yoshiさんのブログの藁沓の中の神様についての記事を拝読させていただきました。
物語の全文を読んでくださって、細かい分析までされていて、とても勉強になりました。
Yoshiさんの解答の、「藁沓の神様に呼び止められたから」はロマンティックな答えで素敵だし、タイトルの「藁沓の中の神様」にぴったりで、納得も行くし素敵な答だなぁ…と感じました。
ありがとうございます。
投稿: yuuki | 2016年2月24日 (水) 10時21分
yuukiさんこんばんは
削除コメントありがとうございます。
ロマンチックとは無縁なオヤジですが、50年も生きていると、男女が縁あっての出会うときには、そばに神様がいるんだろうと思うようになります。
でも、小学5年男子には理解できないと思います。
投稿: Yoshi | 2016年2月27日 (土) 01時53分
>Yoshiさん
削除お返事コメントありがとうございます
>男女が縁あっての出会うときには、そばに神様がいるんだろうと思うようになります。
そうですね。
年齢が上がってくると、人智の及ばない存在って感じますよね。
人間成熟してくると、若い時と違ってだんだん謙虚になってくる感じがします。
投稿: yuuki | 2016年2月29日 (月) 23時38分