8月の最終日の記事は、この夏を振り返る記事をUPする予定だったのだけれど、急遽割り込みの記事を書く事にしました。
4年前に書いた『義務教育での留年』という記事に昨日いただいたコメントを読んでいて、アメリカの学校教育制度についてかなり誤解があると感じました。
そういえば、今までうちの子どもたちが通っていた学校や教育については記事にしてきたけれど、アメリカの一般的な学校教育については記事にしたことはなかったなぁ…と気が付いたので、忘れないうちに記事にしておこうと思います。
はじめに断っておきたいのは、この記事はあくまで私の家族が経験したことを元に書いたもので、アメリカ全土の学校教育について調査したものではないです。
(アメリカ全土を比較する調査なんてしたら、教育学かなんかで博士論文が書けるかも…)
アメリカでは義務教育の年限などの大まかな枠組みは国の法律で決められているけれど、他は州ごとに法律が違っていて、州が違えば学校教育の基準も違う。
おまけに、同じ州内でも地域差があって、経済的に裕福でない地域では、州の基準を満たしていない(州どころか国の基準も満たせているかどうかも怪しい)公立学校もある。
『義務教育での留年』の記事にも書いたのだけれど、アメリカの義務教育は日本の幼稚園の年長にあたるキンダーから、日本の高校3年にあたるハイスクールのシニアまでの13年間。
キンダー→エレメンタリースクール→ミドル(ジュニアハイ)スクール→ハイスクールの順番で学年が上がっていく。
日本の学校は小学校が6年、中学校が3年、高校が3年と固定されているけれど、アメリカの義務教育ではエレメンタリースクールからハイスクールまで地域によって修業年限が違うので、エレメンタリースクールの1年生(1stグレード)から高校のシニア(12thグレード)まで通しの学年名で呼ぶ。
例えば、最初に渡米して住んだ市では、エレメンタリー6学年、ミドル2学年、ハイスクール4学年だったし、その隣の市は、エレメンタリー6学年、ジュニアハイ3学年、ハイスクール3学年だった。
今住んでいる市は、エレメンタリー5学年、ミドル3学年、ハイスクール4学年。
(学年の割り振りは、スクールディストリクトで決まっていて、スクールディストリクトは大体市の単位で地域が決まっている。)
義務教育はキンダーからハイスクールのシニアまでだけれど、学校(キンダーも含む)に通わなければならない年齢は州によって色々で、うちの子供が通っていた州では6歳~17歳までが義務教育の年齢でした。
日本では4月1日までに満6歳に達した子どもが就学しますが、アメリカは州によってバラバラ。
9月上旬というところもあれば、1月1日というところもあるし、11月が区切りという州もある。
(でも学年の年度のはじめは、大体8月後半から9月の頭で、2学期制。)
以前の記事にも書いたように、アメリカでは飛び級制度も留年制度もあるので、同じ学年=同じ年齢ではない。
ハイスクールの卒業年齢も、10代初めから20歳くらいまで色々。
1~2学年飛び級したり留年する子は多いので、16歳~20歳くらいが大体の卒業年齢。
ハイスクール在学中に義務教育の年齢(学校に通わなければならない年齢)を過ぎてしまったら、ハイスクールを卒業(または課程を終了)せずに学校をやめること(ドロップアウト)ができる。
ミドルスクール(ジュニアハイスクール)とハイスクールは単位制で、時間割が自分で組めるので、ハイスクールのジュニアになるまでにほとんどの単位を取得してしまって、ハイスクールのシニアになると学校に通う日数も授業の数も少なくできるので、大学に通ったり働きながらハイスクールに通う生徒もいます。
ミドルスクールまでは(特別支援のクラスや習熟度別のクラスや選択科目もあるけれど)、全生徒がほぼ同じコース(同じカリキュラム)だけれど、ハイスクールになると、コースが細かく分かれてきます。
アメリカのハイスクールは日本の高校のように進学校、普通高校、実業高校、特別支援学校などの区別がないし、トップや底辺などの地区別ランクもない。
義務教育なので、同じ学区の子は同じハイスクールに通います。
ハイスクールでは、コースが幾つかに分かれていて、ビジネスコース(簿記とか経営などを選択科目で選べるコース)、エンジニアコース、コンピューター・サイエンスコース、理系コース、文系コース、アートコース、など将来の進学先や職業に結びつくカリキュラムを選ぶことができます。
(娘の通っていたハイスクールには、車の整備を学べるコースもあって、学校の校舎内に整備場があったり、陶芸のクラスのための陶芸用のアトリエや窯などもあったりしました。
運転免許の取得のクラスもあったので、自動車運転の練習コースまでハイスクールの構内にあった。)
一度コースを決めてしまった後で、気が変わって途中でコースを変えることも可能ですが、コースごとの卒業に必要な単位をとらなければならないので、それまで取っていた単位が必修の単位として無効になる(自由選択科目としてしかみとめられない)こともあります。
子どものニーズと公立学校のサービスが合わなかったり、家庭の教育方針と合わないなど、住んでいる地域の公立学校に通わせたくない場合は、私立の学校(有料)に通うこともできるし、家庭で親(教師の免許なしでOK)や家庭教師などが教えるホームスクールを選択することもできる。
ホームスクールは、州の出しているホームスクールのカリキュラムに沿って教えて、学年末に州の学力テストを受けて、進級できるかどうかが決まる。
ホームスクールのカリキュラムは、年間どれくらいの時間どの教科に使うように規定はあるけれど、細かい時間割で決められていないので、丸1か月社会化だけ勉強して、次の月は算数だけ勉強したり、などの教え方の自由が効くという利点がある。
家庭の事情でホームスクールで勉強していた子が、公立学校に通うようになったり、公立学校に通っていた子がホームスクールに切り替えたり、何年かおきに公立学校とホームスクールを行ったり来たりして、教育を受けることも可能です。
1年間、家族であちらこちらを旅行しながらホームスクールで勉強して、翌年からは公立学校に戻ったり、する家族もいました。
長くなってきたので、続きは次回に…
こんにちは。いつもポチッといただきありがとうございます。
返信削除いらぬおせっかいと思いましたが一つだけ。
「日本の義務教育は小学校が6年、中学校が3年」です。
以上、老婆心ながら・・・
投稿: のん | 2016年9月 1日 (木) 09時47分
>のんさん
削除こんにちは~
訪問&コメントありがとうございます。
ココログだけでなく記事のほうも読んでいただいて嬉しいです。
そうですね、日本の義務教育は中学まででしたね。
ご指摘ありがとうございます。
訂正しました。
投稿: yuuki | 2016年9月 3日 (土) 03時24分
yuukiさん、こんにちは(^^)/
返信削除4年前の記事のコメントを読ませて頂きました。
いや~、正直コメントには驚きましたよ。
やっぱり、日本人なんだよね~
アメリカという国を解かってないよね~
あまり、気にしない方がいいですよ(^^)v
投稿: エルザ | 2016年9月 2日 (金) 13時55分
>エルザさん
削除こんにちは~
訪問&コメントどうもありがとう~
以前の記事のコメントまで読んでいただいてありがとうございます。
そうなんですよね。
日本に住んでいると、こちらの状況はわからないですよね。
私もこちらに来て住んでみるまで分からないことが沢山あって、最初の2~3年はカルチャーショックの連続でした。
投稿: yuuki | 2016年9月 3日 (土) 03時24分
こんにちは、前のコメントを読んで、高校の成績が関係ないとは、テキサスの私が教えている高校の成績証明書(トランスクリプト)には、生徒の前後期の平均点と期末試験の点数がきちんと記載されますので、大学へいってアドバイザーに例えば「高校の生物学の成績良くないけれど、生化学の専攻にして良いの」と指摘されますね。私は、アメリカの大学で英語を指摘される前に「高校と大学で生物を履修していないけれど、貴方の専攻にはそれが必要だったと思うけれと大学の生物の授業についていかれるかしら」とアドバイザーに言われてしまいましたが、なんとか”B”で前期生物学終えましたが、「でも、貴方、工業高校で工業大学でねぇー」と指摘して、生物学の入門(Introduction)とついでにIntroduction to Biology for non-major を取らされて、それでやっとGeneral Biologyを取れさしてくれました。今は、よかったと思っていますが、あの当時は恨んでましたが。 そんなことを思い出しながら、読ませてもらっています。アメリカの先生は、日本ほど校務と称した雑務がないので、教科に専念できる点がとても良いです。では、また続きをたのしみしています。いつも、良いものを記載されていますね、ありがとうごさいます。
返信削除投稿: kazoo | 2016年9月 7日 (水) 07時59分
>kazooさん
削除こんにちは~
訪問&コメントありがとうございます。
kazooさんは工学系から、生物学へコースを変えられたのですね。
アメリカの大学は日本と比べるとコースの変更の自由度は高いけれど、prerequisiteがついて回るので大変ですよね。
prerequisiteのクレジットを取るにも授業料がかかるし、その分お金も時間も損をした気分になる。
こちらの高校では生物学がサイエンスの科目の中では履修しやすいらしく、理系を目指していない子で取っている子が多いですよね。
うちの娘も息子も高校では生物学(Introduction)を取りました。
kazzooさんのように高校で生物を取らなかった生徒というのは少ないのではないかと思います。
私も日本の高校・大学で生物学を取らずにこちらの大学のGEで、non-majorのバイオロジーを取って苦労しました。
アメリカの中学、高校はアドバイザーが選任なので、日本のように担任が生徒指導や進路指導をしなくても済みますものね。
教育(行政)については、アメリカの学校の方が日本の学校より分業化がすすんでいるように思います。
投稿: yuuki | 2016年9月 8日 (木) 22時16分