2016年9月3日土曜日

アメリカの学校教育について2


 前回の記事では、義務教育の事について書いたので、今回はポスト・セカンダリー教育(義務教育終了後の進学)の様子を書いて行きたいと思います。

 今回の記事もそうなのですが、あくまで私の家族が経験したことを元に書いたもので、アメリカ全国で押し並べて同じ状況ではないです。

 前回までの記事で書いたのだけれど、アメリカのハイスクール(義務教育)の終了の仕方は3通りあって、1.ハイスクールのディプロマ(ハイスクールの学位)を取って卒業する、2.ハイスクール課程修了のサティフィケート(ハイスクールの終了証明書)を取得する、3.学位も終了証明書も取得せずに途中でハイスクールを辞めてしまうドロップアウト、のいずれかになります。

 義務教育終了後、大学や専門学校に進学できるのは、1のハイスクールの学位(ディプロマ)を取得しているか、2の終了証明(サーティフィケート)を持っている場合です。

 ハイスクールの終了証明(サーティフィケート)を受け入れない大学や短大もあるので、サーティフィケートの場合は、進学先の選択肢がハイスクールの学位(ディプロマ)を持っている人と比べると少なくなります。

 アメリカの大学は入試のないところが殆ど
 ハイスクール時代に受けるACT(学力試験、日本のセンター試験のようなもの)のスコアとGPA(学校の成績)で入学判定されます。
 中にはアメリカのハイスクールの卒業資格(またはハイスクール卒業見込み)だけで、入学判定なしで、申し込み者全員を受け入れるオープン・エンロールメントの大学や短大もあります。
 オープン・エンロールメントの大学とは対照的に、ハーバードなどのアイビーリーグの大学や有名校で入学希望者の多い学校は、SATのスコアとGPAの他に独自の試験を課している大学もあります。

 日本の大学と違って、アメリカの大学は入学金を支払うことは稀
(私立の一部の大学はあるかもしれない)
 アプリケーションフィー(入学手続きの料金)は払うけれど、日本の入学金のように高額ではないです。

 入学金はいらないところが大多数のアメリカの大学だけれど、授業料は日本の大学の授業料と比べると高額
 地域の差はあるものの、公立学校でも1学期間の授業料が日本円に換算して100万円くらいというところもザラ。
 アメリカは18歳が成人年齢なので、学費は学生自身が払うケースが大半。
 学生の多くが給付型の奨学金をもらったり、いい成績を収めて授業料免除(全額免除と部分免除がある)を受けたり、教育ローンを借りたりして賄っている。
 日本のように親が学費や大学の費用を払うのは稀で、親が援助しているというと、「なんて親切な親なの!」と関心されるか、「よっぽどお金持ちの家なのか?」と思われる。
(2016年のアメリカ大統領選挙の民主党の候補者選に名乗りをあげていたサンダース議員は州立大学の学費を無料にするという政策を掲げて、多くの支持者を得ていたのも、アメリカの大学の授業料が高額だから。)

 授業料は高額だけれど、公立の大学や一部の私立大学は住民料金(正規の授業料よりかなり安い)があったり、給付型(返済不要)の奨学金や授業料免除の制度が充実しているので、やる気と才能のある子どもが経済力がないために進学を断念することはほとんどないと思います。
 アメリカの社会のいいところは、(才能いかんに関わらず)やる気のある人にはチャンスが与えられるような風潮や仕組みになっていることです。

※細かいアメリカの授業料と単位については、以前に書いたこちらの記事を参照してください。

 入試もなくて入りやすい、経済的な負担も軽減してくれるアメリカの大学だけれど、学位を取って卒業するのは難しい

 アメリカの大学には日本の大学のように在学の年限がない
一度入学したら、他の学校に転校するか卒業するまでは在学生です。
 結婚や家庭の事情で休学して、十年以上経って復学することも可能です。
 また、卒業単位を満たせばいつでも卒業できるので、4年間のプログラムを夏休み返上で単位を取って3年で卒業したり、逆にパートタイムで在籍して8年かけて卒業してもOK。

 にもかかわらず、卒業するのが難しいのは、勉強の量が圧倒的に多いから。
 教科書や参考文献などの読書課題も膨大な量だし、小テストや定期テストもあるし、論文の提出もあるので、勉強の時間をしっかり取らないと授業についていけない。
 日本の(高校や中学の)定期考査の期間が(夏休みなどの長期休暇を除いて)入学から卒業までずーっと続く感覚だと言えばわかりやすいかもしれない。
 日本の多くの大学生のように、バイトとサークル活動に明け暮れていたら単位をとるのはまず無理だと思う。

 アメリカの学生も、バイトもするしクラブ活動(主にスポーツや芸術)もサークル活動もボランティアもするけれど、多くの学生が将来の自分の職業に関連していたり、就職に有利なバイトや課外活動をすることが多い。
 アメリカの企業は日本のように新人教育に力を入れないので、大学を卒業したら即戦力として働くことを求められる。
 なので学生も夏休みなどの長期休業中に就職したい業種や関連の業種でインターンのような形でバイトをして、学生のうちからレジュメ(履歴書)に書けるような経験を積んで行く。

 長くなってきたので、続きは次回に…

 

 

2 件のコメント:

  1. アメリカの大学は、大変でした、むしろ大学院の方が楽でした。大学院でも、授業を履修しなくてはいけないのが、玉に瑕でしたが。いやー勉強したなぁー(笑)
    では、ごきげんよう。

    投稿: kazoo | 2016年9月 7日 (水) 08時05分

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    1. >kazooさん

      コメントありがとうございます。

      アメリカの学校はとにかく勉強させられますよね。
      日本の学校と違って、実際に役に立つ内容ばかりで、アメリカの大学で学んだことって無駄にはならないので、日本で受験勉強をしているのに比べたら、苦痛ではないし、学ぶ楽しさもありますよね。

      投稿: yuuki | 2016年9月 8日 (木) 22時28分

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